技術書を出版するまでの1161時間50分38秒

技術書を出版するまでの1161時間50分38秒#

Summary

  • 技術評論社から「データ可視化技術入門(上・下)」という本を出した

  • プロトタイピングから販促まで、合計1161時間50分38秒かかった

  • その作業内容を「データ可視化技術入門」で紹介したフローで可視化する

背景#

技術評論社から 「データ可視化技術入門」 という書籍(以下、 本書 と呼びます)を出版しました。 本書は、マンガ・アニメ・ゲームのデータを使って、楽しくデータ可視化の基礎を学ぶ入門書です。

本書は上巻と下巻の分冊構成となっており、それぞれ基本と応用に焦点を当てています。

上巻:データを見る力・見せる技術

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https://gihyo.jp/book/2026/978-4-297-15271-0

下巻:データを問う力・伝える技術

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https://gihyo.jp/book/2026/978-4-297-15273-4

上巻は3部構成です。

  • 第1部:データ可視化の導入

    • 第1章:定義、目的、ツール

    • 第2章:構成要素、手法、留意点

  • 第2部:マンガデータを使ったハンズオン

    • 第3章:データの準備(取得、前処理、基礎分析)

    • 第4章:データの可視化

  • 第3部 : 基本技術の解説

    • 第5章:Python、Pandas、Plotlyの基礎

    • 第6章:データの準備の基礎

    • 第7章:データ可視化の将来

下巻は2部構成です。

  • 第1部:可視化手法の包括的解説

    • 第1章:量を見るための手法

    • 第2章:分布を見るための手法

    • 第3章:内訳を見るための手法

    • 第4章:変数間の関係を見るための手法

  • 第2部 : メディア展開データを用いたハンズオン

    • 第5章:データの準備(取得、前処理、基礎分析)

    • 第6章:データの可視化

目的#

このブログは 本書で紹介する技術の活用例として 、本書出版に関する作業時間[1]を分析・可視化することを目的としています。

以下は本ブログで扱う内容と、本書の該当箇所を整理した表です。 データ可視化の導入や展望を除き、 ほとんどの章と関連しています[2]

本ブログで扱う内容

本書の該当箇所

1

データの記録

上巻7章

2

データの取得

上巻6章、上巻7章

3

データの前処理

上巻6章

4

データの基礎分析

上巻6章

5

量を見るためのデータ可視化

下巻1章

6

分布を見るためのデータ可視化

下巻2章

7

内訳を見るためのデータ可視化

下巻3章

8

関係を見るためのデータ可視化

下巻4章

-

データ可視化の全工程

上巻3-4章、下巻5-6章

以下は、本ブログの分析工程を概説した図です。 まず、技術書の執筆作業をTodoistとToggl trackに 記録 することから始まります。 次に、Toggle APIを用いてデータを 取得 し、草稿データと合わせて 前処理 します。 基礎分析 を経て示唆や注意点を確認したあとで、 様々な手法で 可視化 して知見を獲得します。 ちなみに、本書でもほぼ同様のフローを採用しています。

なお、データ分析の作業工程は目的と対象に大きく依存するため、一般論を語ることは困難です。 上図と異なり、基礎分析と可視化を同時に行うこともあります[3]。 試行錯誤の結果、手戻りや繰返しが避けられないこともあるでしょう。 ここで紹介しているのは、あくまでも本ブログに限った話です。

想定読者#

このブログの第一の想定読者は 自分自身 です。 本書の執筆は、長期間にわたる大きなプロジェクトとなりました。 私を支えてくれた家族(とくに妻)への感謝を忘れないために、作業時間を分析・公開することにしました。 また、集中力のない自分をどう操縦すれば作業を進められるのか、 そのヒントをこの分析から得たいと思っています。

第二の想定読者は、 技術書の執筆を検討している方 です。 技術書を執筆する度に思うのは、「こんなに大変だったとは」です。 このような誤算が生じる原因の一つは、 そもそも執筆時間に関する 定量的な記録 があまり見当たらないことではないでしょうか。 幸い、私はタイムトラッキングが趣味です。 2019年頃から活動時間を記録しており、本書の執筆に関するデータも手元にあります。 これを可視化することで、未来の技術書執筆者の参考になればと考えました。

第三の想定読者は、 本書の読者 です。 本ブログは、各章の執筆にかけたコストを様々な角度で可視化しています。 本書を小脇に抱えてご覧頂くことで、 特殊な角度[4]での読書体験を提供できたらと考えています。

最後に、本書のメインメッセージを再掲させてください。 好きなもの・興味のあるものを巻き込むと、学習がはかどります。 本書では、たまたまマンガ、アニメ、ゲームを例として採用しました。 しかし、こういった文化と縁遠い読者もいるかもしれません。 そういった方は、このブログで紹介するように 自分自身 を対象にデータ可視化をしてみてはいかがでしょうか? 何だかんだ言って、自分のことには興味のある方は多いと思いますから。

スコープ#

このブログは 「データ可視化技術入門」 の サポートサイトではありません 。 あくまでも私個人の記録の一環として、その執筆時間を分析したものになります。

サポートサイトは以下から辿れますので、適宜ご活用ください。

技術評論社公式サイト

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本書の公式情報はこちら

https://gihyo.jp/book/2026/978-4-297-15271-0

本書のJupyter Book

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本書のソースコードはこちら

https://kakeami.github.io/vizbook-jupyter/index.html

なお、このブログでは Loose Drawing のイラストを利用しています。 ありがとうございます。

自己紹介#

最後に、本書の筆者であり、このブログの運営者でもある私について紹介します。 本書の執筆過程で得られた知見やノウハウを、このブログを通して皆様と共有できれば幸いです。

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Kakeami

都内マーケティング会社で数理モデルの研究に従事する傍ら、ジョージア工科大学大学院で計算機科学を専攻。 二児の父。